石橋を叩いても渡らないかも?: 羊の群れのように

2006年08月04日

羊の群れのように

言葉ととか、その他いろんな手段を使って人は自分の気持ちを伝えていくのだけど、それがうまく伝わらない。それは表現能力の未熟さが大きく影響していると思う。言い換えれば、いままで日本人はそういう環境におかれていなかったことにすべての原因があると思う。

hituji.gif近代日本になって、全国津々浦々まで義務教育という国策として始まっった歴史ではあっても、そのおかげで世界の何処よりも文盲率の低さは誇れたし、日常生活に支障がない程度の知識や計算能力は皆身につけていった。しかし、それは国家として先進国に追いつくための国策でもあったし、生産性をあげるための教育、国家に忠実性を求めるための教育でもあったはずだ。戦後、占領軍によって根本から見直しを求められて新しい日本を再構築するための教育に改められたけれども、それが正の部分と負の部分をひこずって今日まで来ている。

近年において明治維新、第二次世界大戦敗戦という二度にわたって国家としての変革を求められる歴史的岐路があった。それらが後の文明の躍進に大きく影響したことは認めるが、それに伴って歩み続けなければならないはずの過去の文化を、いずれもそれを放棄している。いや否定している。いとも簡単に。

舶来信奉の国民性は良く言えば従順。政治家も評論家も。最近聞かなくなったが評論家の二言目には「欧米では・・・」と例え話を引き合いに出す。何でも欧米が正しいのか、己独自の考えはないのか。いさぎよいのか、馬鹿なのか。古き価値観を捨てる勇気があるのなら、いや新しい価値観を受け入れる従順さがあるのなら、なぜもっと自分自身でものを考えることをしないのか。自分自身の意見をまとめることが出来ないのか。またそれをみんなに伝えられないのか。

わたしが仕事を通じて学校に出入りしていたときに、一番に感じられたのは、子どもたちの表現能力の乏しいことだった。まわりからはみ出さない。人と異なる考えを持たない。いや持たないのではなく、何も考えていないのだ。だから羊の群れのように先頭が右に曲がれば右に、左にゆけば左に行く。学校はカリキュラムどおり知識を伝授する場に徹している。異端児は認めない。異端教師もいない。いてはいけないのだ.

以前に書いた野外活動で、他のクラスとは違う生徒の自主性を尊重し、オリジナルのプログラムで活動しているクラスがあった。わたしにはその指導している教師に好感が持てた。生徒たちも生き生きしてた。数年経って、またその学校が担当になった。あのときの教師を捜した。みつからない、転勤したのか。やがて気がついた。大勢の教師の中に彼がいた。目立たない地味な存在で。あまりにもの変わりように声をかけてみた。「いや〜、したくても出来ないんですよ。上から注意がありました」照れ笑いしながら語ってくれた表情の中に、彼の挫折感を感じた。

いま日本は過去に経験をしたことのない国際社会の荒波の中に立たされています。それを乗り越えていく英知が求められています。それを担うのは、思考回路の硬直化した老為政者たちではなく、次世代のひとたちです。

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posted by ゲゲゲのイチロー at 18:50 | Comment(2) | TrackBack(3) | 社会
この記事へのコメント
こんばんは! 私信です^^
了解いたしました。お気になさらないでくださいね。私も毎日ゲゲゲのイチローさんのブログを読んで勉強しにきますので♪
本格的な夏がやってきましたがお体には気をつけて頑張ってくださいね!!それではまた〜。
Posted by ぶいっちゃん at 2006年08月06日 19:14
 初めてTBさせて頂きました。
 TBは「格差の内と外」というもので、ここのブログ記事に余りに似ているのにびっくりしています。
 「羊の群れのように」行動する教師Bは、普段の生徒との係わりから「経済格差」が深化していることに気が付いている。しかし、いざ自分の生活になると、平均値としてしか見ることができない。
 私はこの状況下の教師を[学歴という背広が歩いている]人たちと呼んでいる。知らず知らずのうちに、優位意識を内部に持ち、客観的に「経済格差」を認識していても、自分と係わりの無い世界と教育されてきたし、そのように訓練されてきた。
 このような人も間違いなく「格差」の底辺に押しやられつつあるのだが、気が付いていない。彼らに優越意識を与えることによって、「格差」を深化させ利益を独り占めしようとする支配者に管理されているからである。
 還元すれば、「羊の群れのように先頭が右に曲がれば右に、左にゆけば左に行く。学校はカリキュラムどおり知識を伝授する場に徹している。異端児は認めない」体制が出来上がっている。
 このことに気が付かないと、今の政治・経済制度は変わらないのだろう。
Posted by morichan at 2006年08月07日 18:34
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